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CS-Column no.670
【Match Report 全日本大学サッカー選手権 準決勝 明治大学vs関西学院大学】

カテゴリ:関西学院大学サッカー部



 

敗者となってしまった明治大学のメンバーの表情には、悔しさよりも”やりきった"達成感のほうが勝っていたように思える。 「みんな、やれることはやったのかなと。その中で相手のほうが実力が上だったと感じています」明大の10番であり主将、和泉竜司(4年・市立船橋)は試合後にこう口にした。観る側としてはがこの一戦から非常に大きな充実感を感じ取ったが、結果として敗者となってしまった彼らにとっても、それは同じだったらしい。


 ゲームの開始後、"ボールを握る”という意味で主導権をとったのは間違いなく明大だった。山越康平(4年・矢板中央)と室屋成(3年・青森山田)を中心として右サイドの道渕諒平(3年・仙台Y)、そして和泉を交えながら丁寧に下からビルドアップをして前線へ運ぶ。「 相手がうまかったし取りに行っても取れないと思ったので、ディレイをした」と関西学院大・小林成豪(4年・神戸U-18)と技術面での差を実感したようであったが、とはいえ引きすぎることはなく、"奪いにいける"と察すればプレスを仕掛ける。そして、この守備が見事にハマった。「 相手のSBがかなり上がってくるのはわかっていたので、いい守備ができたら空いてくるとは思っていた。そこでうまくカウンターができたと思う」と小林は続けて語ったが、その通り明大としては先に述べた右サイドの攻撃力は好調だった一方で、室屋が上がった裏のスペースがぽっかりと空いており、関学としてここが明確な"狙い所"だった。

 6分、中盤で奪ったボールをそのスペース、関学から言うところの左サイドの裏に放ると、小林が中央から対応に出た山越との1対1を制し、クロスを上げる。一度は明大守備陣に跳ね返されたものの、セカンドボールに反応した右SBの高尾瑠(1年・名古屋U-18)が思い切りよく蹴りこみ、これがサイドネットに突き刺さった。ファーストチャンスをものにした関学は、22分にも追加点をあげる。右サイド浅い位置でボールを受けた森俊介(3年・東山)が得意の左足で鋭いボールを左サイド裏のスペースに出し、これに反応したのはチームの絶対的エース、呉屋大翔(4年・流通経済大付属柏)だった。最初のシュートは一度はGKのセーブにあったものの、こぼれ球を角度のないところから蹴りこんだ。

 早々と2点のリードを奪った関西学院大だったが、ここから空気は一変する。 「2点を取られて目を覚ましたというか、ようやく”これじゃダメだ”というのに気付かされた」(和泉) 明大は和泉、道渕を中心に躍動。華麗なパスワークで相手陣内に押し込みつづけると、22分には中央から和泉が最終ラインの裏に出したボールに室屋が反応し、左足で冷静にゴールへ流し込む。そしてその15分後には自陣から小出悠太(3年・市立船橋)が放ったフィードを相手のボックス内で道渕が見事な胸トラップで収め、相手DFを引きつける。ここで道渕はシュートを打ちきれずにボールはこぼれるも、和泉が入り込んで左足で狙いすましたシュートをニアに沈めて同点に。追い風に乗った明大はその後も圧力をかけ続けたが、前半終了間際の43分に藤本佳希(4年・済美)がフリーではなったヘディングシュートは枠の上に外れるなど、逆転弾を決めるには至らず。

 結果的に、この流れがある時間帯で決められなかったのが全てだった。

 

 「後半みんなでもう一回引き締めてやっていこう」という成山一郎監督の声で平静さを取り戻した関西学院大が後半開始直後の52分、1点目と同じく左サイドの1対1を制した小林のクロスから、ゴール前でこぼれたボールを小野晃弘(2年・藤枝明誠)が蹴りこんで勝ち越しに成功。その後明大は3-4-3にシステムを変更しサイドからの攻撃に圧力をかけるも、大きなチャンスは作れない。そのまま後半アディショナルタイムに入ると、高い位置まで出たGK服部一輝が前方の河面旺成(3年・作陽)にパスを送ると、河面がこれを服部にリターン。その瞬間、ギアをあげて圧力をかけにいった途中出場の福冨孝也(4年・宝塚北)が服部からボールを奪って前方に蹴りこむと、呉屋がこれを拾って無人のゴールへ流し込み、4-2。残り2分で2点を返す力は明大には残されておらず、このまま試合は終了した。

  関西学院大はこれで2年連続の決勝進出。前年度は悔しい敗戦を喫しただけに、"今年こそは"というリベンジの思いは強い。ただし、決勝戦では絶対的なエースである呉屋を累積警告で欠くという苦しい状況にもある。それでも、成山監督はこう強く言い放った。

「ここまでチームを導いてくれた呉屋に報いる方法も、勝って優勝するしかないので。勝つと決めて、みんなで笑いたい」

 

 明治大学 

POS

背番号

名前

学年

採点

寸評

交代

GK

1

服部 一輝 (札幌大谷) 3

4

1点を追う中で出た焦りが失点に。前半にも危ない場面があった

 

DF

2

室屋 成 (青森山田) 3

5.5

ゴールは評価点も、彼の裏は完全に明治守備陣の穴だった

 

DF

3

山越 康平 (矢板中央) 4

5

小林との1対1に完敗。しかも、それが失点に繋がってしまう  

DF

5

小出 悠太 (市立船橋) 3

5.5

出足の速さは際立つも、出かけた直後に背後を突かれる

 

DF

6

高橋 諒 (国見) 4

6

前向きにボール奪う姿勢を90分間体現。圧巻の走力だった

 

MF

16

柴戸 海 (市立船橋) 2 5.5 中盤の球際の攻防で勝負をする前に、相手にボールを離される  
MF 7 差波 優人 (青森山田) 4 5.5 序盤に激しくミスが目立つも、正確なフィードは健在だった 81'
MF 18 道渕 諒平 (仙台Y) 3 6 スピードがある状態でコントロールをミスしない。好調だった 75'
MF 9 瀬川 祐輔 (日大第二) 4 5.5 持ち味の突破は見られず。ゴール前でのプレーが少なかった 61'
FW 10(C) 和泉 竜司 (市立船橋) 4 6.5 奪われず、前に運び、点を奪う。敗戦も、その輝きは特別だ  
FW 11 藤本 佳希 (済美) 4 5 前半終了間際の決定機を外したことがこの試合の分岐点  
SUB  

 

 

 

 

 

DF 20 河面 旺成 (作陽) 3 4.5

最後のバックパスが、服部のミスを呼んだと言っても過言ではない

 
MF 17 土居 柊太 (浜松開誠館)  2 - 時間短く、評価なし  
MF 31 金原 唯斗 (磐田U-18) 2 - 時間短く、評価なし

 

監督   栗田 大輔   5.5 前半に再三突かれた室屋の裏のケアを早急に対応したかった  

 関西学院大学 

POS

背番号

名前

学年

採点

寸評

交代

GK

1

上田 智輝 (京都U-18)

1

5.5

2失点は相手の技術に屈するも、終盤のパワープレーの対応は良かった

 

DF

28

高尾 瑠 (名古屋U-18)

1

6.5

思い切りよいシュートで先制点。ボールを受ける位置も秀逸

 

DF

15

米原 祐 (作陽) 3

6

前半にあわや失点の落下点察知ミスも、終盤の猛攻を耐え切る

 

DF

3(C)

井筒 陸也 (初芝橋本)

4

6

後ろに重い前半の時間帯で、苦しみながらもチームを鼓舞した

 

DF

16

小川原 一輝 (関西学院高等部)

2

5.5

高い位置を取る室屋、好調の道渕を掴みきれなかった

 

MF

7 徳永 裕大 (G大阪Y)

4

6.5

やや大人しめだったが、攻撃時にふいに間を取るのが上手い

88'

MF

6 小野 晃弘 (藤枝明誠)

4

6

ラインアップが遅れ失点に絡むも、試合を決める決勝点を挙げた


MF

11 森 俊介 (東山)

2

7

カットインだけではない。攻撃時のアイディアが無限にある

90'

MF

9 出岡 大輝 (G大阪Y)

2

6.5

足を止めず、攻守に渡って前向きのプレーを貫徹した 61'
MF 8 小林 成豪 (神戸U-18)

4

7

積極的なドリブルとス裏への抜け出しで攻撃陣を牽引し、2点を呼ぶ  

FW

13

呉屋 大翔 (流通経済大付属柏)

3

6.5

決めるべきとこで決めるのがこの男。が、決勝戦出場停止は痛すぎる  

 

 

 

 

 

 

 

DF 2 岡山 宗星 (C大阪U-18) 3 - 時間短く、評価なし  
MF 14 福冨  孝也 (4年・宝塚北) 4 -

時間短く、評価なし

 
MF 26 池田 優真 (4年・作陽) 4 6 積極的にフォアチェックをこなし、攻撃時の追い越しにも迫力あり  

監督

 

成山 一郎

 

6.5

切り替えの速さと質の高いカウンターで仕留め、快勝。4冠まであと1つ

 

 

MOM 関西学院大学 MF 8 小林成豪 (4年・神戸U-18)

【writer】

Reona Takenaka

【プロフィール】

平成元年生まれのロンドン世代。2011年よりCSParkのサッカーライターとして活動を始め、今年度は引き続き関東大学リーグの取材をしつつ、『EL GOLAZO』にて川崎フロンターレの担当記者を務める。2012,2013年度は湘南ベルマーレ担当。ライター以外にも様々な業務をこなす。愛するクラブはドイツ・ブンデスリーガ1部のウェルダー・ブレーメン。

>>> Twitter: @reona32
>>> Blog:http://reonatakenaka.com/



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